剣豪の姿からみた強さの形

　「え？あの人が？！」。人をみる時、イメージや第一印象が先行し、実のところ意外な一面がある事を知る瞬間があると思います。

　皆さんもそんな事ってないでしょうか？


　歴史を見ていくと、剣豪といわれる人物達がいます。有名なところでは、塚原卜伝や宮本武蔵といったところでしょうか。

　彼らの名前を目にした時、剣術に長け剣に生きた人物といった感じで、あくまで”剣術の達人”、剣イコール彼らといったイメージが先行するのではないでしょうか？

　しかし、塚原卜伝や宮本武蔵といった歴史上有名な剣豪たちも、剣術オンリーな人生ではないんですね。


　塚原卜伝はある日船に乗っている時、同船している武芸者に対戦をしつこく申し込まれ、近くの島で対戦する事になり、その島に着いた時、相手が先に島に降りて対戦に備えようとした時に、卜伝は船を自ら漕ぎだし、相手をしまに置き去りにして、「卑怯だぞ」と罵声を浴びせてくる相手に「そこでゆっくり休息されよ。これぞ我が無手勝流よ。」と、戦わずに互いに命を落とすことなく、かつ、相手に一杯喰わせています。

　宮本武蔵は後年、二人の養子を得ますが、養子たちには自ら追求した剣は学ばせず、学問を習わせ、就職先まで世話し、養子は藩に出仕し、後に家老にまで上り詰めています。自身は五輪書という兵法書も執筆しています。


　多くの創作品で、剣に生き剣術オンリーのようなイメージが先行しがちなか彼らですが、実はこのように”知”の大切さを知りつつ、”知”を実践したり伝承したりしているんですね。


　文武両道という言葉の本当の意味は、文武の両方に優れているという意味ではなく、一つの目的に対して文武の両方の使い方を知っているという意味です。


　どんなに優れた知識技術や沢山の経験をもっていたとしても、それを自分の為のみを目的に使うのでは、それらの使い道を知っている・使えるとは言えないでしょう。


　文武の両方の使い方を知っている。誰も傷つかずに未来につなげる手段を知り実現できるという事も、”人の強さ”の一つの形なのかもしれませんね。